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2023年1月29日(日)「断面萌えの会」レポート

先日開催した、木材の断面を見て学ぶ(萌える)「断面萌えの会」の報告です。

はじめてのプログラムでしたが、正直、こんなに盛り上がるとは思ってなかったというくらいの盛り上がり。こんなに木に触れて、講師の話を聴くだけではなくて実際に五感を使ってガシガシやれて、いろんな樹種があっていろんなクセのある木も見られるって場はなかなかないのかも。この場所が創り出せる機会の可能性に改めて目が開かれた1日になりました。

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【断面萌えの会の主旨】
今このプロジェクトの現場には様々な木材がありますが、それは立木の状態では見ることのできない、木の内側をつぶさに見ることができる資料にほかなりません。それらはなんらかの外力が働いていた結果曲がっていたり、枝が切られた痕が呑み込まれていたり、アテがあって割れが出ていたり、杢が出ていたり虫に喰われたり、樹皮を巻き込んでいたり異物を呑み込んでいたりしています。木についての知見を増やしたい人にとって、こうした材をたくさん見て考えることは無意味ではないはずです。私も、立木を見て、製材をして、考えて、目利きができないうちは状態の悪い丸太もたくさん回収して、木材としてはダメだった木々もたくさん製材(解剖)して、いっぱい損もして、そうこうするうちに、立木を見れば秒速でその木がどんな感じか判断をできるようになりました。そのことが、大きな緑地などでたくさんの木を見てなにができるかできないか、提案を求められるような場合など、すごく役立っているわけです。「断面萌えの会」では、山のようにある何十樹種もの木材のなかから、いろいろな材をピックアップして、一緒に観察、実際に木に触れ、五感で感じ、知識を学び、そしてまた現物を見て、あなたの中にある「木ってこう言うものだ」を滅茶苦茶に増やしましょう!

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幹が癒合したナツミカンを観察

そして当日、総勢35名での大賑わいのイベントとなりました。当初、「あぁこれ、樹木医さんに見せたら絶対喜ぶだろうな、、、興味深く見てくれるだろうな、、、」 と木材を整理していて思ったことから、樹木医さんに声をかけ、当初は非常に関心が高い一部の人たちしか来ないであろうということで企画したイベントでしたが、マニアではない普通寄りの方々もたくさん参加されるということで、いくつかのゲームのような「チャレンジ」を考案し、それを骨格としての観察・勉強会という形にしてみました。

 オープニング〜チャレンジ① 「これで机が作れるか?」

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製材されたソメイヨシノをもう一度丸太のように重ねて中を見えなくしたものを用意して、オープニング。さぁこれ、外からつぶさに見て、中がどういう状態か当ててみよう。立木の頃のこの木を見せられて、「この木を伐って机にして欲しいんだけど、、」と言われた時に、「できますよ!」と答えるか「ちょっと無理、、」と答えるか。参加者それぞれに観察し、予想して、実際に中を見て答え合わせをしていきます。

チャレンジ②「最高齢はどの木?」

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あらかじめ私が選んだ4本の木の板(芯を含む年輪を数えると樹齢が分かる板)を、年輪を数えることなくささっと選んで、どの木が一番樹齢があるかを当てるチャレンジ。

A:直径35cm、オープニングチャレンジのソメイヨシノ
B:直径90cm、オーバーのクスノキ
C:直径20cm、強のチャボヒバ

チャレンジ③「悪い子はいねがー!」

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樹種によって樹皮も剥きやすさも全然違う!

たくさんある木材の中には、まだ樹皮が付いているものも。そうしたもののなかから、この樹皮の下に「虫がいる!」と思うものを選んできて、実際に皮を剥いているかいないかを確かめてみる。正解だとカミキリ虫やタマムシの幼虫が出てきます。整理をしながらやるはずだった樹皮剥き作業も進んで一石二鳥。

樹皮には虫が潜んでいることがあり、虫の種類にもよりますが、木材を食べて材の表面だけでなく中の方まで穴を開けてしまうものもいます。樹皮を剥き、そうした被害を防がなければなりませんが、樹形も悪く(凸凹が多く)そもそも剥けにくい樹皮も多い紅葉樹の樹皮剥きは特に大変です。水っ気が少ない時期に伐られた木は特に大変。

木の樹皮がどんなものなのか、どれほどに多様なのか、剥きやすいものもあればそうでないものもある。そして実際に虫が出てくる! 木によっては集合住宅か!というくらい出てくるものも。

人の狩猟本能を呼び覚すのか、実際に木に対してアクションできることが良かったのか、「悪い子はいねがー!」チャレンジはすごい盛り上がり。カミキリムシの幼虫はとても美味とかで、暖をとるための薪ストーブの炭火で炙って味見する人たちも、、、(私は食べませんでしたが、イベント終了時のご挨拶の時に「食べてみた人〜」と聞いてみたらほとんどの人が手を挙げていて驚きました!)


 

こんなに木に触れてガシガシやれていろんな樹種があっていろんなクセのある木も見られるって場はなかなかないものです。

私も昔そうでしたが、漠然と、「木っていいよね、大事だよね、増やしたいよね」と思っている一方、実際に知っている木なんてほとんどなくて、街で普段目にしている木々も、公園にある木々も山にある木々も、緑の有象無象としてしか見ておらず、そしてそのことを自覚すらせず、でも自分は緑を大切にする人間だと信じて疑わず、そのことが良いことだと信じて疑わず、街の緑や山の緑をこうすべし!こうしたほうがいいんだ!自分にはアイデアがあるんだ!と思っていて、求められればいっぱしの能書を垂れたりもしちゃいそうな人でした。樹皮の一つも剥いたことがなく、木の硬さも重さも臭さも脆さも逞しさもなんにも体験していないのに。

街の木のイベントではいつもそうですが、体験と感覚を大切にしています。そしてもちろん楽しさも。

今回は最も勉強熱心な樹木の専門家の方々を、当初意識してのイベントでしたが、本当に楽しすぎる1日になりました。

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